はじめに
近年、デジタル化が進む中で、紙の文書をデジタルデータに変換するOCR(Optical Character Recognition)技術の需要が高まっています。特にPythonはその豊富なライブラリと簡潔なコードで、OCRの実装に適しています。
この記事では、Pythonを用いてOCRを行い、その結果をクリップボードに保存するプログラムの作成について説明します。これにより、紙の文書や画像からテキストを抽出し、それをすぐに他のアプリケーションに貼り付けることが可能になります。
具体的には、Tesseract OCRというオープンソースのOCRエンジンを使用し、その結果をクリップボードに保存するPythonプログラムを作成します。さらに、このプログラムを実行ファイル形式に変換し、ショートカットキーに割り当てることで、キーボードの一押しでOCRを実行できるようにします。
それでは、次のセクションで必要なライブラリとツールについて説明します。それぞれのインストール方法と、それらをどのように使用するかについても詳しく説明します。それでは、始めましょう!
必要なライブラリとツール
このプロジェクトでは、以下のライブラリとツールが必要となります。
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Tesseract OCR: Tesseract OCRは、Googleが開発し、現在はオープンソースとして公開されているOCRエンジンです。多くの言語をサポートしており、高い精度でテキストを認識することができます。
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Python: Pythonは、その簡潔な文法と豊富なライブラリにより、多くの開発者に愛用されているプログラミング言語です。このプロジェクトでは、Pythonを使用してOCRプログラムを作成します。
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pyocr: pyocrは、Pythonで書かれたOCRツールのラッパーライブラリで、Tesseract OCRと連携して使用します。
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Pillow: Pillowは、Pythonで画像処理を行うためのライブラリです。OCRを行う前に、画像の前処理を行うために使用します。
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pyperclip: pyperclipは、Pythonでクリップボードを操作するためのライブラリです。OCRで認識したテキストをクリップボードにコピーするために使用します。
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pyinstaller: pyinstallerは、Pythonスクリプトをスタンドアロンの実行可能ファイルに変換するためのツールです。これにより、Pythonがインストールされていない環境でもPythonプログラムを実行することができます。
次のセクションでは、これらのライブラリとツールのダウンロードとインストール方法について説明します。それぞれのライブラリとツールがどのように連携して動作するかについても詳しく説明します。それでは、次のセクションに進みましょう!
Tesseract OCRのダウンロードとインストール
Tesseract OCRは、Googleが開発し、現在はオープンソースとして公開されているOCRエンジンです。多くの言語をサポートしており、高い精度でテキストを認識することができます。
以下に、Tesseract OCRのダウンロードとインストールの手順を示します。
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Tesseract OCRのダウンロード: Tesseract OCRの公式GitHubリポジトリから最新のリリースをダウンロードします。リリースページには、各バージョンのソースコードとWindows用のインストーラが提供されています。
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Tesseract OCRのインストール: ダウンロードしたインストーラを使用して、Tesseract OCRをインストールします。インストーラは、必要なすべてのファイルとライブラリを自動的に配置します。
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環境変数の設定: Tesseract OCRの実行ファイルがインストールされたディレクトリを、システムのPATH環境変数に追加します。これにより、任意の場所からTesseract OCRを呼び出すことができます。
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Tesseract OCRのテスト: コマンドプロンプトまたはターミナルを開き、
tesseract -v
と入力してEnterキーを押します。正しくインストールされていれば、Tesseract OCRのバージョン情報が表示されます。
以上で、Tesseract OCRのダウンロードとインストールは完了です。次のセクションでは、Pythonのライブラリであるpyocr、Pillow、pyperclip、pyinstallerのインストールについて説明します。それでは、次のセクションに進みましょう!
pyocr、Pillow、pyperclip、pyinstallerのインストール
このセクションでは、Pythonのライブラリであるpyocr、Pillow、pyperclip、pyinstallerのインストール方法について説明します。これらのライブラリは、OCRプログラムの作成に必要なものです。
以下に、それぞれのライブラリのインストール手順を示します。
- pyocrのインストール: pyocrは、Pythonで書かれたOCRツールのラッパーライブラリです。Tesseract OCRと連携して使用します。pyocrをインストールするには、コマンドプロンプトまたはターミナルを開き、以下のコマンドを入力します。
pip install pyocr
- Pillowのインストール: Pillowは、Pythonで画像処理を行うためのライブラリです。OCRを行う前に、画像の前処理を行うために使用します。Pillowをインストールするには、以下のコマンドを入力します。
pip install pillow
- pyperclipのインストール: pyperclipは、Pythonでクリップボードを操作するためのライブラリです。OCRで認識したテキストをクリップボードにコピーするために使用します。pyperclipをインストールするには、以下のコマンドを入力します。
pip install pyperclip
- pyinstallerのインストール: pyinstallerは、Pythonスクリプトをスタンドアロンの実行可能ファイルに変換するためのツールです。これにより、Pythonがインストールされていない環境でもPythonプログラムを実行することができます。pyinstallerをインストールするには、以下のコマンドを入力します。
pip install pyinstaller
以上で、必要なライブラリのインストールは完了です。次のセクションでは、これらのライブラリを使用してOCRのPythonプログラムを作成する方法について説明します。それでは、次のセクションに進みましょう!
OCRのPythonプログラム本体
このセクションでは、OCRのPythonプログラムの作成方法について説明します。以下に、OCRプログラムの基本的なコードを示します。
import cv2
import pyocr
import pyperclip
from PIL import Image
def ocr_image(image_path):
# OCRエンジンの取得
tools = pyocr.get_available_tools()
tool = tools[0]
# 画像の読み込み
img = cv2.imread(image_path)
gray = cv2.cvtColor(img, cv2.COLOR_BGR2GRAY)
# OCRの実行
txt = tool.image_to_string(
Image.fromarray(gray),
lang="jpn",
builder=pyocr.builders.TextBuilder(tesseract_layout=6)
)
# 結果をクリップボードにコピー
pyperclip.copy(txt)
return txt
# テスト
print(ocr_image('test.jpg'))
このプログラムは、指定した画像ファイルからテキストを抽出し、その結果をクリップボードにコピーします。また、抽出したテキストはコンソールにも出力されます。
このプログラムを実行すると、OCRが完了したらクリップボードにテキストがコピーされるので、すぐに他のアプリケーションに貼り付けることができます。
次のセクションでは、このPythonプログラムを実行ファイル形式に変換する方法について説明します。それでは、次のセクションに進みましょう!
OCRのPythonプログラムを実行ファイル形式に変換
このセクションでは、Pythonプログラムを実行ファイル形式(.exeまたは.binなど)に変換する方法について説明します。これにより、Pythonがインストールされていない環境でもPythonプログラムを実行することができます。
以下に、Pythonプログラムを実行ファイル形式に変換する手順を示します。
- pyinstallerのインストール: pyinstallerは、Pythonスクリプトをスタンドアロンの実行可能ファイルに変換するためのツールです。pyinstallerをインストールするには、以下のコマンドを入力します。
pip install pyinstaller
- Pythonプログラムの変換: pyinstallerを使用してPythonプログラムを実行ファイル形式に変換します。以下のコマンドを入力します。
pyinstaller --onefile your_python_script.py
ここで、your_python_script.py
は変換したいPythonプログラムのファイル名です。--onefile
オプションは、すべての依存関係を含む単一の実行可能ファイルを作成します。
- 実行ファイルのテスト: 変換が成功すると、
dist
ディレクトリ内に実行可能ファイルが作成されます。このファイルをダブルクリックするか、コマンドプロンプトまたはターミナルから実行することで、Pythonプログラムを実行できます。
以上で、Pythonプログラムを実行ファイル形式に変換する方法についての説明は終わりです。次のセクションでは、この実行ファイルをショートカットキーに割り当てる方法について説明します。それでは、次のセクションに進みましょう!
OCRのPythonプログラムをショートカットキーに割り当て
このセクションでは、作成したOCRのPythonプログラムをショートカットキーに割り当てる方法について説明します。これにより、キーボードの一押しでOCRを実行できるようになります。
以下に、ショートカットキーの割り当て手順を示します。
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ショートカットの作成: まず、Pythonプログラムの実行ファイル(.exeまたは.bin)のショートカットを作成します。これは、ファイルを右クリックし、[ショートカットの作成]を選択することで行えます。
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ショートカットキーの設定: ショートカットを右クリックし、[プロパティ]を選択します。[ショートカット]タブを開き、[ショートカットキー]フィールドに割り当てたいキーを入力します。例えば、Ctrl + Alt + Oを割り当てる場合、このフィールドに
O
を入力します。 -
変更の適用: [適用]ボタンをクリックして、変更を保存します。これで、設定したショートカットキーでPythonプログラムを実行できるようになります。
以上で、Pythonプログラムをショートカットキーに割り当てる方法についての説明は終わりです。これにより、キーボードの一押しでOCRを実行し、その結果をクリップボードにコピーすることができます。
それでは、最後のセクションであるまとめに進みましょう!
まとめ
この記事では、Pythonを用いてOCRを行い、その結果をクリップボードに保存するプログラムの作成について説明しました。具体的には、以下の手順を紹介しました。
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必要なライブラリとツールのインストール: Tesseract OCR、Python、pyocr、Pillow、pyperclip、pyinstallerをインストールしました。
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OCRのPythonプログラムの作成: これらのライブラリとツールを使用して、OCRのPythonプログラムを作成しました。
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Pythonプログラムの実行ファイル形式への変換: pyinstallerを使用して、Pythonプログラムを実行ファイル形式に変換しました。
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ショートカットキーへの割り当て: 最後に、作成した実行ファイルをショートカットキーに割り当て、キーボードの一押しでOCRを実行できるようにしました。
これにより、紙の文書や画像からテキストを抽出し、それをすぐに他のアプリケーションに貼り付けることが可能になりました。これは、デジタル化が進む現代社会において、非常に便利な機能です。
Pythonの豊富なライブラリと簡潔なコードにより、このようなプログラムを簡単に作成することができます。今後もPythonを活用して、さまざまな問題解決に挑戦してみてください。それでは、Happy Coding!